コンテンツ主導のマーケティングは一般的になってきている一方で、本質的なコンテンツマーケティングを実践できている企業はさほど多くない。
本記事では、BtoB企業が実践すべきコンテンツマーケティングの手法を解説する。
コンテンツとは
マーケティングの世界で語られるコンテンツとは、「顧客の課題に応える情報」である。
よって、コンテンツを作成するためには。前提として「ペルソナ」を設定し、そのペルソナから課題を予め把握しておく必要がある。
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コンテンツマーケティングとは
ターゲットオーディエンスを対象とするコンテンツを作成し、その公開や配布を主にオンラインで実施することを軸としたマーケティングプログラム。新規顧客を惹きつけることを目的とする。
BtoB企業のコンテンツマーケティング
BtoB企業にとって、「コンテンツ」を使ったマーケティング=コンテンツマーケティングが大事な理由は以下の3つに集約される。
見込み客の発見・創出のため
- BtoB企業は一般的に「広告」に頼ることができない
- より効果的な見込み客創出のため
見込み客を育成し、顧客化するため
- 集めた見込み客リストの維持のため
- 見込み客自身の「課題発見」を促すため
顧客の継続率リピート率を高めるため
- 顧客の製品・サービス利用の課題に応えるため
- 顧客のより良い製品・サービス利用を促すため
コンテンツマーケティングの5つのポイント
集客、見込み客の育成、顧客の満足度向上のために作成する

コンテンツは購買プロセス全体を通して作成する。
- 自社サイトへの集客に貢献するコンテンツ
- サイト来訪者を見込み客に転換するコンテンツ
- 見込み客の維持、見込み客の顧客化に貢献するコンテンツ
- 顧客の満足度を向上させるためのコンテンツ
ペルソナをベースに相手に合わせたコンテンツを作成する
読み手を考慮しない、企業が伝えたいメッセージではなく、読み手がいることを想定したコンテンツを企画する。
誰に向けたコンテンツなのか?誰のためのコンテンツなのか?
ライフステージごとの課題に合わせたコンテンツを作成する
コンテンツの企画はカスタマージャーニーマップをもとに、
- ライフステージ
- 課題
- 情報ニーズ
の3つから行い、以下の流れでコンテンツの要旨を決定する。
- キーメッセージ
- ペルソナの言葉でのメッセージ
- 主要キーワード
- 検索エンジン向けキーワード
- どういったコンテンツであれば情報ニーズに応えることができるか
様々なコンテンツフォーマットを活用する
その情報が、どういったフォーマットで伝えるのがベストかを考える。
TIPS | テキスト |
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サービス説明 | 動画 |
ケーススタディ(導入事例) | |
価格表 | |
製品体験 | 無料トライアル・サンプル |
ライフステージ別のコンテンツ例

- 情報収集フェーズ
- 無料ホワイトペーパー
- 無料ガイドブック
- 無料eBook
- 無料チェックリスト
- 無料動画
- 比較検討フェーズ
- 無料ウェビナー
- 無料事例集
- 無料サンプル
- 無料ガイドブック
- カタログ
- 評価・購入フェーズ
- 無料トライアル
- デモ
- 無料コンサルティング
- 見積作成
コンテンツのチャネルと配置先を検討する
コンテンツをどうやって届けるか?どこに置くかを検討する。

集客 | 検索エンジン ソーシャルメディア ブログ 自社サイト PRプラットフォーム 業界メディア |
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見込み客獲得 | ランディングページ ウェビナー |
見込み客育成・顧客満足度向上 | メール パーソナライズドコンテンツ ブログ ウェビナー 自社サイト |
BtoB企業の主要なマーケティング施策

コンテンツ設計の3つのポイント
「適切なコンテンツ」を、「適切な順番」で、「正しい繋がり方」で提供する。
適切なコンテンツ
- 相手は誰?
- その人たちはどのような課題を持っているか?
- その人たちが課題を解決するために必要なものはなにか?
- その人たちが「課題を解決するものはこれだろう」と信じているものはあるか?
- その人たちは何をしてほしいのか?どうなってほしいのか?
適切な順番

ひとつのコンテンツだけで終わらせず、コンテンツの「流れ」や「繋がり」を考える。
正しい繋がり方
正しいタイミング | 前回のメールを送ってから次のメールのタイミング フォーム入力してからのタイミング 前回コールしてからのタイミング |
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正しいチャネル | メール? ブログ? サイト? ダウンロードコンテンツ? |
正しい頻度 | メール配信の頻度 コンテンツ更新の頻度 ダウンロードコンテンツの公開頻度 |
コンテンツマーケティングの手法
SNSマーケティング
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オウンドメディア
企業が自社の商品やサービス、またはブランディングのためにオウンドメディアを運営するというのが、ここ最近のトレンドになっている。
一方で、多くの企業のオウンドメディアで「成果が伸び悩んでいる」「更新が滞っている」「誰が読むのかわからない低品質な記事が量産されている」などの問題を抱えている。
オウンドメディアを運用するには、その成功法則の前に失敗法則を知っておくのが良いだろう。
オウンドメディアの失敗例
ペルソナを設定していない
オウンドメディアを企画する段階では、ペルソナを設定することが通常だ。
しかし、記事単位でもペルソナの設定が必要であるということを見過ごしている担当者は多い。
記事を書く前に、大まかなペルソナは設定しておくべきだ。
あまり細かく設定する必要はないが、その記事が決裁権者向けなのか、選定権者向けなのか、あるいは現場の人間向けの記事なのか、記事ごとにペルソナを設定しなければ、読み手にとって本質的に役立つコンテンツにはなり得ないだろう。
無計画なバズ狙い
どうせ作るなら「バズるコンテンツ」を作りたくなるかもしれないが、このようなコンテンツの読者層が果たして自社の売上に貢献する(=コンバージョンする)のかを確認したい。
刺激的なコンテンツやアイキャッチなどを用いれば、表面上のバズを獲得できるかもしれない。
とにかく認知度を向上させたい、拡散してもらいたいという場合はそれでもいいかもしれないが、問い合わせ(リードジェネレーション)につなげたいという場合は、バズ狙いの記事ではそもそもの役割が異なる。
質より量を重視
記事の数が増えれば、それだけページビューが増え、比例してコンバージョンも増加すると考えがちだ。
そうでなくても、企業がオウンドメディアを運営する際には「月に4記事」のように記事の数をKPIに置きがちである。
無論、記事の量や実数ベースのKPIを設定することも大切ではあるが、そもそもその記事の本質的な目的はコンバージョンであって、コンバージョンに至らしめる最も重要な要素は「記事の質」であることを失念してはならない。
特にアウトプットに慣れていない段階では、「量を増やせば質が落ちる」という現象が必然的に発生する。
加えて、質の低い記事では当然コンバージョンも発生せず、モチベーションの維持が困難になってきたり、やがて記事作成の目的が「コンバージョンの獲得」ではなく、「与えられた毎月の記事作成ノルマの達成」となっていってしまう。
記事の質は以下の要項を確認しながら、低品質なコンテンツを無為に量産することのないように注意したい。
- 独自の情報や報告・調査・分析を提供しているか
- トピック(キーワード)に対して、十分な量の情報を網羅的に提供しているか
- 引用の際は、単なるコピペではなく付加価値が提供できているか
作った記事をそのまま放置している
渾身の記事も、作ってから1年も経過すれば情報は古くなっている可能性が高い。
また、当初設定したペルソナや流入経路の想定と実際が異なっている場合もある。
よって、一度作成した記事も内容の更新や深堀りなどといったリライトを実施する必要がある。
記事内容のみならず、検索結果で一番初めに目に入るタイトルを修正することでも、検索順位・流入の改善可能性がある。
このように、タイトルの修正をしたり本文のリライトをすることで、記事ごとの表示回数やクリック率を改善し、記事内容の充実を図って検索評価を上げることで、サイト全体のトラフィックの向上が期待できる。
外部に丸投げしている
自社内にライティング経験やスキルを有したリソースがない場合、ライターを外部に発注するケースが多いが、以下の理由でライティングもインハウスで実施すべきだ。
- 費用がかかりすぎる
- ナレッジが社内に蓄積しない
オウンドメディアは運用したからすぐに効果が出るという施策ではない。
1記事数万円で外部ライターに依頼し、各種ツール等にも投資していくとなると、毎月のオウンドメディアにかかる維持費は相当なものとなる。
売上単価が高いBtoB企業であっても、キャッシュアウトを極力抑えて継続性を高めることが、中長期的施策であるオウンドメディアを成功に導く絶対条件と言えるだろう。
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メールマーケティング
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ホワイトペーパー(eBook)
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