SEO(検索エンジン最適化:Search Engine Optimization)は、Webサイトを検索エンジンの上位に表示させ、検索ユーザーに価値ある情報を提供することで、ビジネス目標達成を目指す戦略です。その本質は、単に順位を上げる技術ではなく、「検索ユーザーの体験を最適化する(Search Experience Optimization)」ことにあると言えるでしょう。

SEOとは何か?検索エンジンの仕組みと目的

SEOを理解する最初のステップは、「検索エンジンを知ること」から始まります。現在主流となっているのはロボット型検索エンジンであり、Google検索もこれに該当します。ロボット型検索エンジンは、主に以下の3つのプロセスでWebページを評価し、検索結果に表示します。

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クローリング(Crawl)

検索エンジンは「Webクローラ」と呼ばれるソフトウェア(GoogleではGooglebot)を使って、インターネット上のWebページを巡回し、リンクをたどって情報を収集します。

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インデックス(Index)

クローラが収集したWebページの情報は、キーワードやWebサイトの新しさといったシグナルに注目し、「検索インデックス」と呼ばれるデータベースにすべて記録されます。インデックスされることで、初めてWebサイトが検索結果に表示されるようになります。

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ランキングアルゴリズム(Rank)

ユーザーが検索したキーワードに対し、どのWebページが最も関連性が高く、質が高いかを判断するために、200を超える要素からなるランキングアルゴリズムが用いられます。特にGoogleは「RankBrain」というAIベースの検索アルゴリズムを重要視しており、ユーザーの検索意図を汲み取って関連性の高いWebページを探す役割を担っています。

SEOの目的は、このランキングアルゴリズムにおいて、自社のWebサイトが高品質でユーザーにとって価値のあるページであると認識され、上位表示されるように最適化することにあります。

SEOの主要な構成要素

SEOは、大きく「内部対策」「外部対策」「コンテンツSEO」の3つの要素に分類されます。

内部対策 – サイト構造と技術的な最適化

内部対策は、Webサイトの構造やHTMLの記述を最適化し、検索エンジンがコンテンツを正確に理解し、評価しやすいようにするための施策です。

HTMLタグの最適化
  • Title要素:ページの内容を端的に表し、主要な検索エンジンで表示される文字数(約28文字以内が目安)に収め、対策キーワードを含めます。ユニークなタイトルにすることが重要です。
  • meta description:ページの説明文であり、検索結果に表示される場合があります。100文字以内に収め、対策キーワードを含めつつ、ユニークな説明文を作成します。
  • hタグ(見出し)h1からh6までを階層構造に従って適切に利用し、ユーザビリティを高めます。h1はページに必ず1つだけ使用し、大見出しとして機能させます。
  • imgタグのalt属性:画像の内容を言語化し、代替テキストとして設定します。SEOへの直接的な貢献度は小さいものの、アクセシビリティ向上に寄与します。
URLの正規化

異なるURLで同じ内容のコンテンツが表示される「重複コンテンツ」は、ページの評価を分散させてしまうため、canonicalタグや301リダイレクトを用いて、正規のURLに統一します。

  • canonicalタグ:複数のURLの中から優先的にインデックスすべきURLを検索エンジンに伝えます。
  • 301リダイレクト:恒久的なURLの移転時に使用し、検索エンジンの評価を新しいURLに引き継ぎます。
クローラビリティの促進

検索エンジンがWebサイト内を効率的に巡回し、重要なページをインデックスできるようにするための対策です。

  • sitemap.xmlの設置:サイトマップを作成しGoogle Search Consoleに登録することで、サイト構造や優先度を正確に伝え、インデックス漏れを防ぎます。
  • noindex処理: クロールさせる必要のない低品質なページや、検索結果に表示させたくないページに対してnoindexタグやHTTPヘッダーで設定することで、Googleにインデックスさせないようにします。
注意

robots.txtによるdisallowはクロールをブロックするもので、インデックスを保証するものではないため注意が必要です。

パンくずリストの設置

ページの現在位置を上位階層から下層階層へ並べ、ユーザーとクローラーのサイト構造理解を助けます。構造化データとしてマークアップすることで、リッチリザルトにも表示される可能性があります。

外部対策 – 他サイトからの評価と信頼性の構築

外部対策は、他のWebサイトから質の高い被リンクを獲得し、クロールの促進や第三者からの評価を得るための施策です。被リンクが多いWebサイトは、Googleから「優秀なコンテンツを生み出している」「人気がある」と認識されやすくなります。

被リンクの質

単にリンクの数を増やすだけでなく、信頼できる関連性の高いWebサイトからのリンク(リンクジュース)が重要です。

ペナルティの対象となる被リンクの回避

検索順位を操作する目的で作られた不自然なリンクや有料リンクは、Googleからのマイナス評価やペナルティの対象となります。rel="nofollow"rel="sponsored"rel="ugc"といった属性を適切に使用し、外部リンクがPageRankを転送しないようにすることが推奨されます。

コンテンツSEO – ユーザーニーズに応える質の高い情報

コンテンツSEOは、ユーザーの検索意図に深く応える、価値あるコンテンツを作成・提供することで、検索エンジンからの評価を高める施策です。近年、Googleのアルゴリズムは質の高い情報コンテンツを高く評価する傾向にあります。

E-E-A-Tの重視

Googleの検索品質評価ガイドラインでは、コンテンツの品質を評価する上で「E-A-T」が重要視されています。これは「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の頭文字を取ったもので、現在は「Experience(経験)」が加わり「E-E-A-T」としてさらに進化しています。

  • 専門性:テーマが統一されており、ユーザーの問題解決につながる、網羅的で質の高いコンテンツであること。
  • 権威性:信頼できる第三者(外部サイトからの被リンクなど)から評価されているコンテンツであること。
  • 信頼性:独自性が高く、誰が書いたか明確で、専門家としての認知や信頼性が得られていること。BtoB企業では、自社情報が明確に掲載されていることで「信頼性」を担保できることが多いです。
  • 経験:特にYMYL(Your Money or Your Life)と呼ばれる「人々の幸福、健康、経済的安定、安全に影響を与える可能性のあるページ」では、非常に高い評価基準が設けられており、「経験」の重要性が増しています。
ユーザーニーズとインサイト

コンテンツ作成の際は、ユーザーの表面的なニーズだけでなく、「ユーザー自身がまだ気づいていない潜在的なニーズ=インサイト」に応えることを目指します。検索ボリュームだけでなく、ユーザーが本当に求めている情報を提供することが「独自性、価値・魅力がある」コンテンツにつながります。

コンテンツの質と量

コンテンツ作成の際は、ユーザーの表面的なニーズだけでなく、「ユーザー自身がまだ気づいていない潜在的なニーズ=インサイト」に応えることを目指します。検索ボリュームだけでなく、ユーザーが本当に求めている情報を提供することが「独自性、価値・魅力がある」コンテンツにつながります。

Googleが重視するユーザー体験の指標 – Core Web Vitals

Googleはコンテンツの内容だけでなく、ユーザーがWebサイトを利用する際の体験の質(UX)も重視しており、その指標としてCore Web Vitals(コアウェブバイタル)を検索アルゴリズムに導入しています。

Core Web Vitalsは以下の3つの項目で構成されます。

LCP(Largest Contentful Paint)

「最大コンテンツの描画」を表し、ページの読み込み速度を測る指標です。メインとなるコンテンツ(画像、動画、大きなテキストブロックなど)が表示されるまでの時間を測定します。

INP(Interaction to Next Paint)

「次回のペイントまでのインタラクション」を表し、ページに対するあらゆるユーザー操作(クリック、タップ、キー入力など)の応答性を測る新しい指標です。以前はFID(First Input Delay)が初回入力の遅延を測定していましたが、INPはページ上のすべてのインタラクションに対して、ブラウザが視覚的なフィードバックを返すまでの時間をより包括的に評価します。

CLS(Cumulative Layout Shift)

「累積レイアウト変更」を表し、視覚要素の安定性を示す指標です。ユーザーの意図しないレイアウトのずれ(画像や広告の遅延読み込み、Webフォントの読み込みによるずれなど)が発生すると、スコアが悪化します。

これらの指標を改善することは、Googleからの評価向上だけでなく、Webサイト上でのユーザー体験を本質的に最適化することにつながります。

SEOの進化:検索体験最適化(SXO)へ

今日のSEOは、もはや「検索エンジンの順位を上げる」という狭い意味での「Search Engine Optimization」から、より広範な「Search Experience Optimization(検索体験最適化)」へと進化しています。

ランキング至上主義からの脱却

検索結果のランキング1位であっても、クリック率は限定的であり、ユーザーは必ずしも「ランキング1位」のWebサイトだけを見ているわけではありません。SEOの真の目的は「トラフィックを増やすこと」であり、「ランキング上位であること」はあくまでそのための手段の一つに過ぎません。

ビジネス目標達成への貢献

ユーザー体験を最適化することで、Webサイトへの流入増加だけでなく、その先の「ビジネス目標の達成」(問い合わせ、資料請求、購買など)へとつなげることが重要です。

自社ドメインにこだわらないプレゼンス構築

ユーザーは必ずしも自社ドメインのWebサイトだけを見ているわけではありません。自社関連コンテンツが他のプレゼンスの高いサイトに掲載されることで、検索結果の1〜2ページ目に出てくるようにすることも、有効なSXO戦略です。

検索エンジンがない世界を想像する

「SEOや検索エンジンがない世界だったとしたら、どんなことに気をつけるだろう?」と自問することで、ユーザーにとって本当に役立つコンテンツや、気持ちの良いUXを提供することの重要性が見えてきます。

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