SEOの具体的な施策は、以下の2つに分類できる。

内部対策

どんなに良質なコンテンツを作っても、Googleがそのコンテンツの価値を理解できなければ意味がない。

主に以下の対策をもって「マイナス要因の排除」を行う。

  • 主要なHTMLタグの最適化
  • URLの正規化
  • クローラビリティの促進
外部対策(コンテンツSEO)

ユーザーを理解し、ユーザーにとって有益なコンテンツを作成する。
加えて、「サイトの使いやすさ」や「ページの読み込み速度」などのユーザビリティにも配慮する。

主に以下の対策をもって「プラス要因の増幅」を行う。

  • キーワードの選定と評価
  • コンテンツ制作
  • ユーザー体験の向上

上位表示されるための条件

上位表示を目指すには「コンテンツ」「被リンク」「コーディング」の総合評価で競合を上回る必要がある。

この記事では、外部対策(コンテンツSEO)の概要について解説する。

関連記事:SEOの基礎【内部対策】

外部対策とは

他のサイトから被リンクを増やし、クロールの促進や第三者からの評価を得るための施策を「外部対策」と言う。

被リンクが多いことで、優秀なコンテンツを生み出しているサイトとして認知もされ、利用者が多い人気サイトに育成されていく。

無効な被リンク

無効な被リンクはクローラーの巡回をブロックしてしまい、検知されないため注意が必要。

外部リンクに、以下のいずれかのhtml要素のrel属性が付与されていると、被リンクの効果は無効になる可能性がある。

外部に評価を渡さないリンク(rel属性)

rel=”nofollow”

rel=”sponsored”

rel=”ugc”

ペナルティの対象となる被リンク

以下のような「低品質な被リンク」を有していると、Googleからのマイナス評価や順位下落ペナルティなどを受ける対象となり得る。

PageRankを転送する有料リンク

リンクやリンクを含む投稿に関して金銭や商品のやり取りが発生する被リンクは全てペナルティの対象である。

”nofollow”が入っていればペナルティの対象にはならない。

リンクの周辺に「PR」や「AD」といった広告的な表記があり、かつ「rel=”nofollow”」がない直接リンクである場合は、有料リンクの可能性がある。

不自然なリンク

リンクを貼ること自体が目的になっている、ユーザーにとって不自然で無価値なリンクを指す。

有料リンクと違って、“PageRankを転送しないものであっても”ペナルティの対象となる。

ディレクトリサービスからのリンク

ディレクトリサービスからのリンクは不自然リンクに該当する可能性がある。

文中の不自然なアンカーテキスト

サイトやblogの記事の文中などに設置された明らかにSEOを目的としたアンカーテキストのリンクも不自然リンクと見なされる。

ワードサラダからのリンク

ワードサラダからのリンクは不自然リンクとみなされる。

相互リンク集

明らかにSEO目的で作られた、ジャンルに関係なくリンクだけが貼られているリンク集、無条件でリンクを受け付けているサイトからのリンクも不自然リンクとみなされる。

隠しリンク

見つけにくい形で貼られたリンクも不自然リンクとみなされる。(以下、例)

  • 背景と同色にしたアンカーテキストのリンク
  • CSS を使用して画面の外に配置されたリンク
  • JavaScriptを使用しアンカーテキストを見えないようにしたリンク
  • フォントのサイズを最大限小さくして見つけにくくしたリンク

被リンクを増やす方法

被リンクを増やす方法としては、主に以下の3点が考えられる。

友人、知人に紹介してもらう

多くの人にとって役立つコンテンツであれば、口コミにより多くの友人・知人への紹介が期待できる。

SNSのシェア(二次拡散)によって、さらに多くの人に届く効果も期待できる。

関連するサービス同士で相互に紹介コンテンツを作成する

関連するサービス・サイト同士が、双方の利益(認知拡大など金銭のやり取りを除く)を目的として、互いにコンテンツを紹介し合う取り組みも有効。

双方の関係者に拡散されるため、今までリーチできていなかったターゲット層の認知を得られる可能性がある。

外部メディアへの寄稿

自社と同じジャンルを取り扱っている関連性の高いサイトや、他サイトから被リンクを多く獲得しているような強いサイトから記事を紹介されることで、サイト同士の関連性を担保しつつ、評価の向上が期待できる。

いずれにしても、被リンクを増やすには他のユーザーから良質なサイトであると認知される必要があるので、第一条件としてサイトの使いやすさ・デザイン・情報の豊富さといったユーザビリティを高める必要性がある。

外部対策(=被リンク獲得)は自分ではコントロールしづらい施策ではあるが、以下の施策(コンテンツSEO)をもって中長期的に被リンクを獲得していく。

コンテンツの作成
  • 読み物系コンテンツ
    • 読み手が自然とリンクを張りたいと思うような素晴らしいブログコンテンツを一貫して発信しつづける。
  • ノウハウ系コンテンツ
    • データの収集と演算を行い、権威あるサイトがその調査結果にアクセスできるようにする。
コンテンツの拡散 SNSを活用して情報発信をする、実店舗などがあるのであればPOPやチラシなどでサイトを知ってもらう。

能動的にできる外部対策の施策として、本記事では外部対策=コンテンツSEOとして扱う。

コンテンツSEO

検索行動をとるユーザーにとって満足感のあるコンテンツ(問題が解決できる、新しい情報を得られる、専門的な知識を得られる等)を提供できなければ、どのようなSEOを行っても上位表示は見込めない。

BtoBサイトでコンテンツSEOが盛んな理由として、以下の3点が挙げられる。

  1. 競争が激しいビッグキーワードでなく、スモールキーワードでの流入増が期待できる。 スモールキーワードは具体的で語句数が多く、競合が少ないために順位を上げやすい。
  2. 検索ユーザーのニーズと自社サービスの合致度が高めやすく、優良な見込み客にアクセスできる可能性が高い。
  3. 個人(アフィリエイター)と比べて、法人は専門性の高い確かな情報を展開しやすい。充実したコンテンツをサイト内に増やすことで、知識・経験の豊富さをアピールでき、購入・契約に繋がる確率が上がる。

ユーザーの検索キーワードとその検索意図を汲み取ることが、良質なコンテンツ作成の足がかりとなる。

関連記事:コンテンツSEOの実践

キーワードの選定と評価

本記事では以下の企業を例に、キーワードの選定と評価ロジックを解説する。

店舗名 Example株式会社
所在地 東京都千代田区 東京駅から徒歩5分
特長 製造業や工場などBtoB向けのLED販社で工事も請け負っている
強み 低価格とサービス体制のコストパフォーマンスに優れる
Webサイトの目的 DLCのお申し込み、お問い合わせ
ターゲット 工場勤務の設備担当者、責任者、工場長

検索キーワードの調査

まずは、軸足となるキーワードを決める。

この企業の場合は、「LED」や「照明」などが候補にあがるが、このキーワードをそのまま検索窓に打ち込むユーザーは少ない。

実際の検索キーワードの構成は「(軸キーワード)_(補語)」の複合キーワードとして検索される場合が多い。

軸キーワード LED 照明
工場 LED_工場 照明_工場
設置工事 LED_設置工事 照明_設置工事
省エネ LED_省エネ 照明_省エネ
水銀灯 LED_水銀灯 照明_水銀灯

こういったキーワードの組み合わせを、まずは集められるだけ集めること。

以下のツールを使用して、効率的に検索キーワード候補を収集する。

検索ボリュームの確認

検索キーワードの選定を行う前に、そのキーワードが「どれだけ調べられているか(検索ボリューム)」を確認する。

検索ボリュームの計測には以下のツールを使用する。

検索ボリュームがあまりにも少ないとそもそもユーザーの流入は見込ない。

一方で、大きすぎると、競合サイトが多く存在するため、上位表示の難度が上がり難しくなる。

便宜上、検索ボリュームの大きさに応じて以下のように分類する。

  • ビッグワード:1万以上
  • ミドルワード:100〜1000
  • テールワード:〜100

一般的にビッグワードは、単体ワードのものが多いが、ビッグワードをさらに細分化(2種類以上の掛け合わせ)することで、狙いやすいミドルワード、ロングテールワードになる。

キーワードプランナーを用いた検索ボリューム計測の例

ビッグワードの細分化により、より目的が明確なテールワードに

キーワードを程よく細分化することで、ユーザーの目的が明確に、コンテンツとユーザーの関連性も高くなり、コンバージョンに繋がりやすくなる。

クエリタイプの分類

キーワードを選定する上で、検索クエリのタイプを理解しておく必要がある。

Doクエリ (取引型) ユーザーが何らかのアクション(商品購入、資料請求、会員登録、ダウンロード等)をするために利用するキーワード。 直接コンバージョンに繋がりやすいキーワード群と言える。
Knowクエリ (情報型) ユーザーが何らの問題に対して、知識や方法、ノウハウなど情報を集めるために利用するキーワード。 コンテンツSEO、コンテンツマーケティングで重要視される。
Goクエリ (案内型) ユーザーが特定のブランドやウェブサイトを見つけるために利用するキーワード。

選定したキーワードはどのクエリタイプなのか、 また、検索上位にはどのようなクエリタイプのページが多いのかをチェックし、Googleがキーワードに対して評価しているクエリタイプに沿ったページコンテンツにしていく必要がある。

検索キーワードの選定

SEOで最も重要なのは、「ターゲットの集客」につながるキーワードを選ぶこと。

  • ユーザーがどのような意図・目的を持ち、どういったタイミングで検索されるワードなのか?
  • 検索ボリュームは少なすぎないか?
  • キーワードをさらに細分化できないか?
  • 自社コンテンツは検索エンジンが多く表示しているクエリタイプとマッチしているのか?

ユーザーニーズと検索エンジンの特性を良く理解し、キーワードの選定・見直しを行うことが肝要である。

コンテンツ制作

コンテンツSEOには以下のような特徴がある。

  • ウェブサイトが持つコンテンツ本数が増えるほど、コンテンツページを入口とした訪問数は加速度的に増える。
  • コンテンツ本数が少ない段階(初期段階)では本数と訪問数の相関は弱いが、本数が増えると安定して成果が出るようになる。
  • 読み物型よりも情報ノウハウ提供型の方が効率的に成果(少ないコンテンツ本数で大きい成果)を挙げられる。 (情報ノウハウ提供型は読み物型に比べ、コンテンツ本数に対する成果(CV数)が13倍である)
  • 情報ノウハウ提供型における訪問数は、読み物型の4.58倍CVへ貢献する。

コンテンツSEOでは、初期投資やかかる労力が大きく、一方で初期段階では成果が出にくい。

したがって、長期的な投資として取り組む必要があるが、検索エンジンの評価が安定し、成果が出るまでには時間がかかり、初期段階はコンテンツ数自体が少ないので集客数も乏しくなる。

また、成果の出るやり方がわからず、徒労に終わる企業も少なくない。

このような理由から、コスト、時間、労力に対して相応な効果が出るのか疑問に感じ、短期視点の施策を優先しがちで、制作負荷の高い「情報ノウハウ提供型」ではなく、「読み物型」に走るケースもある。

書き手によっては、「読み物型」の方が書きやすく、SNSでのシェア数などでは「読み物型」の方が成果が出ているように錯覚するケースもあるが、SNSのシェア数に惑わされず、書き手にとっての書きやすさにも流されず、ただコンテンツ本数を増やすのではなく、「ユーザーにとって有益な質の良いコンテンツ」=「情報ノウハウ提供型」のコンテンツを根気よく配信していくべきである。

「コンテンツSEO」と「コンテンツマーケティング」の違い

コンテンツSEOは、検索によって情報を探す見込み客をサイトに引き寄せるための手段であり、コンテンツマーケティング施策の認知段階におけるSEOを担当するに過ぎない。

関連記事:コンテンツマーケティングとは

コンテンツ構成

コンテンツSEOでは、いきなりそこから読まれても訪問者が問題なく内容を理解できるようにページを構成すべきである。

よって、ファーストビュー・本文・クロージングの三部で構成する方法を推奨する。

ファーストビュー
  • キャッチコピー:ユーザーを惹きつけ、スクロールさせるキャッチコピーを用意する。
  • リード文:ページの内容を要約して簡単に紹介する。
本文
  • 小見出し:内容を一文に要約する。
  • 内容:見出しに対応した内容を記載する。
クロージング
  • クローズ文:Webページの内容を締めくくり、訪問者に次のアクションを促す
  • CTA(Call to Action):コンバージョンを起こすためのバナーやボタンを設置する

コンテンツの文字数

Googleは公式に、「検索順位確定のアルゴリズムでは文字数を判断材料にしていない。よって単純な文字数を気にする必要はない」としている。

一方で、以下の要件を満たすような「質の高いコンテンツ」を作るためには、相応の文字数になって然るべきであり、文字数が少ないコンテンツ(目安:1000文字以下)が上位表示されているケースは極稀である。

  • 有益で情報が豊富
  • 著者の経歴や実際の顧客からの証言などを掲載している
  • そのコンテンツは独自のコンテンツや情報、レポート、研究、分析などを提供している
  • コンテンツが取り上げているトピックについて、しっかりと全体像がわかる説明がなされている
  • コンテンツが、あたりまえのことだけでなく、洞察に富んだ分析や興味深い情報を含んでいる
  • コンテンツが雑誌、百科事典、書籍で読めるようなクオリティである

また、文字数が多いほど共起語(検索キーワードに関連しているキーワード)を多く含めることができ、多種多様な検索キーワードでヒットする可能性を高めることができる。

UXの向上

コンテンツそのものが良質であっても、ユーザー体験(UX)が低ければ、離脱率やコンバージョン率が悪化してしまいかねない。

以下の項目に配慮し、UXの向上を図る。

表示速度の向上※ 特にモバイル環境での表示速度に配慮する。
ページスピードをチェックし、判定が遅い場合は、画像や参照ファイル(css、Javascript等)を軽量化する。
レスポンシブデザイン※ BtoBサイトの場合はPCからの閲覧が依然として多いが、MFI(モバイルファーストインデックス)の実装により「モバイル対応しているか」がSEOに直接的に影響するため、モバイル環境での閲覧性にも配慮する。
ページタイトルの最適化 クリック率に影響するため、キーワードの配置や文字数に配慮する。
内部リンクの最適化 直帰率や平均滞在時間に影響するため、そのコンテンツに応じた適切なサイト内動線を確保する。
コンバージョン最適化 コンテンツ経由での訪問者は検討の浅いユーザーのため、CV設計を見直すことも重要である。
最適な難易度のCVを設計し、コンテンツに合わせて設置する。

※Googleが提供している「PageSpeed Insights」を利用することで、ページスピードのチェックと合わせてモバイルフレンドリーのチェックが行える。

表示速度とCVR

「表示が遅くなるほどCVRが低下する」というのが定説であり、一部の調査では表示の待ち時間が1秒長くなるごとに精読率(CVR)が0.8%低下、4秒経過で約3.8%低下するというデータが有る。

関連記事:コンテンツSEOの実践


参考文献・URL